台風9号で倒れた美観演出の古木を修復 生出「清水の湧口」 (2007/09/27) 東海新報
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今月七日から八日にかけ、気仙にもさまざまな被害を及ぼした台風9号の強風により、陸前高田市矢作町生出地区の名水「清水の湧口」にかかる古木が根こそぎ倒れた。一時は「周囲の美しい景観が一変してしまう」と心配されたが、近所に住むお年寄りがほとんど一人で木を起こして修復。地区民は再びこの木が根付くことを願っている。
この木は、同地区で「茶グミ」と呼ばれ、以前から地区民に親しまれている。樹齢は百年以上とされ、湧口のほぼ真上を覆いかぶさるように、多少斜めに傾いた状態で立っていた。その光景は周囲の緑豊かな景観とマッチし、とくに夏の暑い時期には水汲みに訪れた人たちに木陰を提供するなど、欠かせないものとなっていた。
しかし、今月七日の強風により根元から倒れてしまった。地区民の間で「切らざるを得ないか」という話も出たが、「茶グミの木がなくなると周囲の景観が損なわれる」との意見が多かった。
そこで、清水公民館の鈴木幹館長や庶務の菅野征一郎さんら地区民が市と話し合ったところ、地元の意見を尊重することで一致。修復作業は近くに住む鈴木和夫さん(78)が名乗り出て、ほとんど一人で一日がかりで仕上げた。
若いころは山仕事で生計を立てていたという鈴木さん。多少枝を間引いて上部を軽くした後、湧口に面した道路の側溝に杭を立ててロープをつなぎ、工具を用いて少しずつ古木を吊り上げながら添え木などして根を埋め戻した。
普段から湧口周辺の清掃作業も行っているという鈴木さんは、「一年を通じて多くの人が水汲みに訪れており、以前の景観に戻すことができて本当に良かった」とにっこり。
鈴木公民館長は「湧口の水の温度は年間を通じて一三度前後に保たれ、毎秒約二百リットルの水量が湧き出ている。これからもこの心和む景観を保っていきたい」と語る。
菅野さんは「子どものころ、よくこの木に登って遊んだもの。夏には真っ赤な実をつけ、食べるとおいしかった。湧口の景観には欠かせない古木であり、今後も大切にしていきたい。鈴木さんの労力奉仕には本当に感謝しています」と話す。
年に三、四回ほど水を汲みに訪れているという大船渡市赤崎町の佐々木英雄さん(77)は「湧口の水をお茶にしたり、冷やして飲んでいます。水道水と違いおいしいですね」と話し、蒸し暑さの中で約四十リットルの水をポリタンクに汲み入れ、自動車で持ち帰っていた。(写真あり)
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