追跡京都2008:宇治の文化的景観 積極的に活用方法を /京都 (2008/08/24) 毎日新聞
(記事抹消)http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080824ddlk26040411000c.html
◇茶問屋など「国の重要景観」に選定申し出--住民と行政の協力は必至
宇治市は先月末、平等院や宇治上神社、茶問屋などが点在する市中心部の228・5ヘクタールを、国の「重要文化的景観」に選定するよう文化庁に申し出た。同景観は、棚田や里山などの農村風景、景観地を文化財として位置付け保護するものだが、市が目指す都市部を含めた選定は前例がない。市のこれまでの取り組みと今後の課題を追った。【藤田健志】
■宇治地区を申請
申請した地区は、京阪宇治駅の南側に広がる宇治川周辺で、観光客に人気のエリア。右岸には世界遺産の宇治上神社、左岸の同じく平等院のほか、宇治橋通りや平等院表参道には老舗の茶問屋が並び、お茶の香りを漂わせる。宇治川では鵜飼(うかい)も行われている。
今回、市は製茶場や茶問屋など10件を重要文化的景観の重要構成要素として文化庁に届け出た。当初、「お茶と歴史のまち宇治の文化的景観」との名称で申請する予定だったが、お茶や歴史以外でも宇治のイメージは多様で、中心部は観光地ながら住民も多く居住していることなどから、「宇治の文化的景観」との名称に決定した。
今後、白川金色院跡がある白川地区の291・5ヘクタールや萬福寺のある黄檗地区26・7ヘクタールなども「宇治地区と一体性がある」として、11年7月までに計718・8ヘクタールを申し出る予定だ。
■景観保全の機運
この地区で景観問題がクローズアップされたきっかけは、96年と97年に平等院近くに建てられた高さ45メートルの高層マンション2棟だ。平等院を訪れた観光客らから「鳳凰堂を撮影した時に背景にマンションが写ってしまって風情が台無しだ」などの声が寄せられたのだ。
このため宇治市は、05年3月に府知事の同意を得て「景観行政団体」となり、今年4月には「宇治市まちづくり・景観条例」を制定、「景観計画」を策定した。一定規模の建物が色彩を変更する場合、届け出を必要とし、宇治地区は「特に景観に配慮すべき地区」(景観計画重点区域)として、すべての建築物が変更する際に届け出を必要とした。
国への重要文化的景観への申し出は、景観計画区域であることが条件となっているが、市は、より厳格な基準を採用して景観計画重点区域のみを今回の申し出対象とした。
■課題は「主体性」
「他の文化財と違い、重要文化的景観は自治体が申し出をする。そのため、地元としてこの景観をどう活用していくかという主体性が問われる」。市歴史資料館の杉本宏・文化財保護係長はそう話す。
しかし課題は残る。宇治地区では昨年6~8月、町内会向けの「景観計画」の住民説明会を計8回開き、1回当たり70~100部の資料を準備していた。しかし、数人~数十人しか説明会には参加しなかったという。
一方で前向きな動きも。申し出予定の白川地区では6月に「白川区まちづくり協議会」を発足させ、住民らが景観や文化財を生かしたまちづくりを目指そうと取り組みはじめた。
重要文化的景観に選定されることの狙いは、観光アピールに加え、住民主体のまちづくりにあるはず。そのためには、行政と住民が協力して、積極的に景観の活用方法を探っていく必要があるだろう。
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◇重要文化的景観
05年4月施行の改正文化財保護法で新設された。これまで、近江八幡の水郷(滋賀県近江八幡市)▽一関本寺(いちのせきほんでら)の農村景観(岩手県一関市)▽遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑(愛媛県宇和島市)--など全国9カ所が選定を受けている。選定されると、重要な家屋に対しては固定資産税が減額され、修復などの整備事業では国から2分の1の補助が受けられる。
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